森 夕海さん

政治経済学部3年 森 夕海さん 2012.6 更新(学年は更新時点のものです)

いま大学で力を注いでいること

私は昔から語学を学ぶのが好きで、そのため大学入学から2年後期までは、週4日第二外国語を学ぶインテンシブクラスを履修していました。数ある言語の中で、私は世界史で学んだラテンアメリカの古代文明や文化、また南米の自然環境や先住民族に興味を抱いていたのでスペイン語を選択しました。昨年夏には、1カ月間スペインの大学での語学研修に参加し語学漬けの日々を送りましたが、今年度は更なるレベルアップの為に、「政治学スペイン語文献研究」を履修し、南米研究が専門の教授から、現地のラテン人の政治参加に関してご指導いただいています。スペイン語で政治学の文献を読むことは、まだ文法さえ完全に仕上がっていない私にとって大変根気の要る作業ですが、元々とても興味のある分野でしたし、少人数制の授業で分からないことがどんどん聞けるのでモチベーションが高まります。また、スペイン語を学ぶ内にスペイン自体が好きになり、その影響から今年度から「バスク語」というフランス・スペインをまたぐ地域に住む少数民族言語の履修も始めました。来年度までに、スペイン語もバスク語も不自由なく使いこなせるようになりたいです。

【ゼミやボランティア活動】
 3年次からゼミが始まり、現在は農業経済・地域格差を学ぶ1年間の教養ゼミと、憲法を学ぶ2年間の演習ゼミを履修しています。特に前者を履修したのには、農村集落への理解を深め、実際にフィールドワークで現地に赴いて理解を深めることで「第一次産業が盛んな東北の復興再生に関わる」という目標に近づきたい思いがあったからです。またオープン科目で設置されている「震災復興のまちづくり」を履修することで、震災復興に不可欠な「まちづくり」という面からのアプローチを学んでいます。更に、1年次から取り組んでいたサークルと語学に加え、今年度からはWAVOCの気仙沼チームのメンバーとなり、そちらでの震災ボランティア活動にも力を注いでいます。
 語学と震災復興の為の勉強は、全く違った方向性ではありますが、現在私が大学で力を注いでいることは、この2つであると思います。早稲田大学ではそのどちらにおいても満足のできる環境が提供されており、専門的に学ぶことが可能なので非常にありがたいです。

奨学金の必要性

私は元々母子家庭であり、高校生ながらに私立大学の高額な授業料を払うことは難しいと考えていましたし、実際に母親にもそのことをあらかじめ伝えられていました。しかし、私の高校は校風が早稲田大学に似ていると言われており、実際に早稲田大学に進学する先輩が多数いたので、憧れの大学の一つでした。特に高校2年の時に参加したオープンキャンパスで早大生が主体的に動いている姿が、他の大学と大きく違っていて感銘を受けたこともあり、諦めきれずにいました。そのような中、私の代から「めざせ!都の西北奨学金」と呼ばれる地方出身の受験生を対象とした、受験前に奨学金の通知結果が分かる制度が始まり、私はその対象者となることができました。そのお陰で親を説得できましたし、更には必ず早稲田大学に入らなければと士気が高まり、モチベーションを受験の最後まで維持することができたように思います。

 

【震災を受けて】
入学後、1年が経とうとする3月の東日本大震災により、私の実家は津波の被害で大規模半壊となり、住めるような状態ではなくなってしまいました。家族は皆無事であったものの、その後にふと湧いてきたのが「大学に残れるのであろうか?」という漠然とした不安でした。実家もアパートに引っ越し、母も職場を変えざるを得ず、家計が以前にもまして厳しくなったからです。貰っている奨学金だけでは足りないであろうことを予測していました。そのような状況のなかで、大学の奨学課から被災学生の為の奨学金が新設されたという連絡が入った時は、うまく表現は出来ませんが、本当に肩の荷が降りた、ずっと気を張っている状態から抜け出せたという安堵感はとても大きなものでありました。祖父母の家が陸前高田市であったこともあり家族全体が落ち込む中、私はその良い知らせを伝え、大学生活を精一杯充実させ、その元気を家に持って帰るのが役目であると思ったので、アルバイトや勉学、語学研修など様々なことを頑張りました。寄付して下さっている校友の方々のことを思い浮かべると、勉強には以前にも増して力が入りました。

【感謝のことば】
私が早稲田大学に入学することになった最大のきっかけは充実した奨学金制度でしたし、現在もそれに大変助けられています。震災後の迅速な奨学金設立によって、どれだけ多くの被災した早大生が安心できたことでしょう。以前から、寄付をして下さっている校友会の方々に、何らかの形でお礼を申し上げたく思っていましたが、今回このような場をお借りして、自らの近況も含め、お伝えできる機会を頂けたことを大変嬉しく思っています。本当にありがとうございます。

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(左)森さん