大島 由雅さん

社会科学部4年 大島 由雅さん 2013.6 更新(学年は更新時点のものです)

いま大学で力を注いでいること

 私は現在、大学で社会科学を専攻すると同時に、医師を志望しており、早稲田大学卒業後に国立大学医学部進学をするべく受験勉強を進めています。専攻の生命周辺領域の社会的学問を通じ、医療社会が「医学」から「健康生活全般」という社会的側面へと視点を拡大させつつある現代について学んでいます。社会学を専攻してきたことは社会的な様々な側面からのアプローチを通じて人々の健康・医学の発展に対しに大きく貢献できると考えています。社会科学も医学も、どちらも小学生時代の父の死から私の中心的問題であり続けている「生きること・生きてゆくこと」というテーマと密接に関係しているように思います。震災以後、人々のあらゆる社会生活の礎として医療の存在が不可欠である現場と直面してきました。その経験が最たる端緒となり、私は今後の将来を医師として人々の生と寄り添う存在でありたいと自覚するに至っています。医療のプロフェッショナルとして、そして、社会学を学んだものとして地域の文化的側面や構造的側面の相互関係を俯瞰しつつ、今後は両者の横断的な実行力をもつ医師となりたいです。
 課外活動としては、陶芸を通じ、土による食の器つくりを媒介として人々の生や幸せと向き合ってきました。陶芸のワークショップの開催や、伝統工芸の保存活動と震災復興の支援を積極的に行なっています。昨年11月には知的障がいをかかえる児童たちと「土のオブジェ作りワークショップ」を開催し、創作・展示活動を行いました。土と触れ合うことが少なくなった都市社会において、多くの方々に土をメディアとした創作の喜びや面白さを感じていただくことができました。また、現在は、公益財団法人早稲田奉仕園様から協賛をいただきまして、6月末から7月初めにかけて早稲田スコットホールギャラリー内にて東北被災地復興・文化支援の展覧会の開催を企画しております。江戸時代より代々続いてきた福島県相馬市の「相馬駒焼」と宮城県仙台市の「堤焼」に加え、今年で開窯40年目となる岩手県一関市の「藤沢焼」の情報展示・販売活動を行います。一部売上金の被災地復興支援ボランティア事業への寄付に加え、震災によって存続の瀬戸際にある「相馬駒焼」の保存支援、そして「東北陶芸文化のこれから」を主眼とした展示を検討しております。(以下はボランティア事業の関連資料です。)

奨学金の必要性

私は社会科学部卒業生奨学金の奨学生として採用されました。この社会科学部卒業生奨学金は、全額が社会科学部の先輩方からの寄付で成立しており、いわば先輩方からの後輩に対する愛の象徴ともいえるものです。このような名誉と愛情ある奨学金に採用していただいたことに対し、先輩方への感謝の気持ちと同時に、厚い信頼を受けて今後日本社会を担う人物になることの重責を感じております。また、この奨学金が橋渡しとなり多くの大先輩や優秀な学友たちと交流する機会を設けていただきましたことは私にとってとても大きな経験となり、早稲田大学社会科学部稲門会をはじめとする先輩方に心から感謝しております。
 私は現在までに三年間奨学金をいただいてまいりました。奨学金は、学費として使わせていただいており、父の死後、女手ひとつで三人の子どもを育て上げてくれた母、そして、私の勉学と精神の鍛錬にとって大きな励みとなり続けています。奨学金制度は、経済面のみならず、あらゆる面で学生の生活を豊かにするものです。そして大きな循環という視野で望むと、受給されている家庭や学生だけではなく、その先輩や後輩、大学全てをも豊かにしている素晴らしい制度なのではないかと考えています。今回、このような特別な場を借りまして、現在までに奨学金を支えてくださっている皆様方に、多大なる感謝の意を評したいと思います。今後は私も、多くの素晴らしい先輩方がそうしてきているように、母校である早稲田大学や皆様方から受けた恩恵を次の世代である後輩たちへとつなげてゆき、今後の母校と日本社会、ひいては国際社会の発展に貢献したいと考えています。

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福島・宮城・岩手の三窯展(PDF)